takamatis blog

汚部屋を綺麗にしたい人間の、雑記ブログです

少女と白い空間

目が覚めると、辺り一面真っ白な空間に少女が1人いた。

 

女は体を起こし、少女の方を見る

 

「おはよう」

「・・・・・」

「おはようございます」

 

お互い挨拶を交わし、状況を確認する

 

「ここには何もないの、お金も仕事も家も、あなたを裏で笑う人も、何もないの」

「・・・・・そうですか」

 

私は、どう返せばいいか分からず、そっけない返事をしてしまった

その事が気に障ったのか、とても不機嫌そうである

 

とりあえず、少女に謝り機嫌を直してもらおうと試みるが上手くいかない

と言うより不思議そうに私を見る

 

「どうして、嬉しそうにしないの?

あなたが何時も死にたいと考えてるから、ここに連れて来たのに」

今度は私が不思議に思い少女を見た

だって、私が死んだ覚えがないからだ

もし、死にたいという気持ちを読んで連れて来たのなら

事故に遭っていたり、何らかの形で苦しんだ記憶が有るはず

でも私は、ここに来る前に

普通に風呂に入って、パジャマに着替えて、布団に入り寝たはず

インフルエンザすら、なった事が無い私がその間に死ぬとは思えない

 

少女は嬉しそうに私を見る

「何も考えなくていいよ、ここは私とあなただけの世界なんだから」

「でも、私、仕事が有るから帰らないと」

「・・・・じゃあ、少し探してみる?出口を」

何か企んでいるような含みのある言い方で

少し気持ち悪いが首を縦に振った

 

それから、しばらく歩いてみたが辺りの景色は変わらず白い

そして私は、しばらく歩いて眠い

「ベットに行く?」

「いや、出口を探す、仕事に行かないと」

私は断ったが、そんな状態では無理と

少女に無理やり連れてこられて、ベットに寝かされる

少女も同じベットに入って来た

「ここ、ベッドが1つしか無いの」

そう言って、布団の下で手を繋いできた

とても暖かくて心地よく、何時の間にか眠っていた

 

目を開けると少女が添い寝をしていた

「おはよう」

「・・・・おはようございます」

辺りは、やはり白かった

しかし最初と違い、下はフカフカだった

ベッドから降りて、また、出口を探す

そして、眠くなったらベッドで寝て

また起きて探す

これの繰り返し

どれだけ探しても見つからず、少し焦る

「もう、諦めれば?どれだけ探しても見つからないよ・・・・」

「・・・・・・」

少女は、もう諦めているようだ

私も、正直諦めようかと思っている所だが、

現実は、そうは行かない

私には仕事が有るのだ

私は、足を止めなかった

 

ベッドと少女以外、何もない白い空間で

何回か寝て歩きをしていると、段々焦りが募っていき

とうとう、私は泣いてしまった

「お願いします、ここから出してください」

「どうして?あなた、いつも死にたいって思ってたじゃない

どうして出たいと思うの?」

「あなた、今まで気づかなかった?この空間に有るものに」

私には何のことか分からなかった

この空間にあるものは、ベッドと少女だけ

少女は居るけど、ほとんど話さない

それ以外何もないはず

少女が何を言っているのか、さっぱり分からない

「この空間には、家計を圧迫してゴミを増やす食欲もそれを出すための排泄も、面倒な人間関係も何もない

その代わり、あなたの大好きな睡眠と都合のいい人がある

死にたい死にたい言ってた、あなたには十分な空間でしょ?

何で出たがるの?」

一気に血の気が下がった

とても怖い

だって、ここが私が思っていた天国であったことが

ここが、天国のはずなのに、とても居心地が悪いことが

「お願いします・・・・出してください・・・・」

「嫌だ、せっかくあなたの為に作った空間なのに

何で出さなきゃいけないの?」

どうしようもない

どう答えるべきか分からない

ただ一言

「・・・・ごめんなさい・・・」

泣きながら謝るしかなかった

こんなはずじゃ無かった

 

少女は泣きじゃくる私に

「あなたが死にたいって何度も言うから作ったんじゃない・・・・」

と呆れた様に言った

私は、何も言えなかった

「仕方ないわね・・・・

今回は特別よ、出口を出してあげるわ

その代わり、また言い出したら今度は絶対に出してあげないから

分かった?」

ため息をつきながら、出口を作ってくれた

これでやっと帰れる

「ありがとう!!

今度は、ちゃんと前向きに生きるよ

もう、こんなのは嫌だから」

嬉しさのあまり、私は笑顔で少女に手を振り出口を出た

 

目を覚ますと、遅刻ギリギリの時間で携帯のアラームが鳴っていた

急いで支度し、家を出る

全力で走ったため、ギリギリ10分前に職場に着いた

仕事を始めるなり気分が良く

今日は調子よく仕事を終わらせれた

 

しかし、2~3日したらミスが続き

つくづく自分は無能であると考えるようになり

次第に「死にたい」と思うように、なったのだった